prologue

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「皆、この扉の向こうに僕らの目的、魔王がいる」 「とうとうここまで来たのね……」 「長い道のりでしたね……」 「フン。ここまで来たなら俺はお前に従うだけさ」 「コイツの言う通りだ!頼むぜ勇者様よぉ!」 一緒に旅をしてきた仲間達から言葉が漏れ出していく。 やっと、やっと魔族の長、魔王を倒して、世界を平和に出来るんだ……! そう思うと心が浮足立ってどこかへ行ってしましそうになる。 だけど、こんな時こそ冷静にならなくちゃ。 僕は深く深呼吸を一つして皆に話しかける。 「いい、扉を開けたら僕、ブロンが前衛、レイラが中衛、アイリスとレインは後衛。アイリスは僕とブロンの補助、回復をメインに、レインは基本は小さい魔法で、隙ができたら大魔法をお願い。ブロンは僕と特攻。3人に絶対攻撃が届かないようにする。レイラは状況を見て前衛か後衛のサポートに入って」 僕がそう言うと、真っ赤な髪に身の丈ほどの大剣を持つ剣士、ブロンが「おうよ!」と真っ先に返す。続いて双子の兄妹であるレインとレイラがピッタリと声を揃えて「分かった」と返事。 そして、アイリスは僕を心配そうに見てから軽くうなずいた。 「ねぇ、私……」 「アイリス、この戦いが終わったら、大事な話があるんだ」 だから、絶対に生きて帰ろうね。 最後までは言葉を告げず、僕は不安げなアイリスの頭を撫でる。 思えば、僕はアイリスに何時も助けられてばっかりだったなぁ…… だから僕は、アイリスの事が…… いけないいけない。集中しろ、僕。
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