本当の1章 転入生

16/16
376人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
そうヘコんでいる俺の右後方では、ルイスに負けず劣らずの光が放たれている。 あっちは……確かS組だな。カインあたりだろう。 どっかの王子様ならこの程度じゃ済まないはずだからな。 はあ……なんかやる気失せてきた。 帰ろうかな。 「アッシュ先生、この後って授業あります?」 「いんや、ねーぞ。ま、ホームルームやって終わりだな」 「じゃあ俺体調悪くなるんで帰ります。満次、着いて来い」 「分かりました」 アッシュ先生は面倒くさいのが何よりも嫌いな人だから、ああ言っておけば大丈夫だろう。 俺は満次を引き連れ、闘技場を後にした。       * * * 「……モノ様、ご友人に挨拶もなくお帰りになってよろしいのですか?」 「いいんだよ別に」 満次を適当にあしらいながらズンズンと歩を進めていく。 そうこうしているうちに三叉路へと着いた。 本来なら寮に繋がっている左へと行くのだが…… 「こっちだ。着いて来い」 「はい。ですがモノ様。行先を教えてもらってもよろしいでしょうか?」 いきなり違う世界に呼び出されたのに、肝の据わった奴だな、こいつ。 今俺たちが進んでいる道は学園の外、町へと続く道で、俺達の目的地は…… 「今から俺の家に行く。そこでお前の事を教えてもらうし、お前の現状も教えてやろう」 そう。俺が今向かっている道はただの帰宅路。 我が親父、コウヤ・フジムラのいる屋敷への道だ。
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!