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そうヘコんでいる俺の右後方では、ルイスに負けず劣らずの光が放たれている。
あっちは……確かS組だな。カインあたりだろう。
どっかの王子様ならこの程度じゃ済まないはずだからな。
はあ……なんかやる気失せてきた。
帰ろうかな。
「アッシュ先生、この後って授業あります?」
「いんや、ねーぞ。ま、ホームルームやって終わりだな」
「じゃあ俺体調悪くなるんで帰ります。満次、着いて来い」
「分かりました」
アッシュ先生は面倒くさいのが何よりも嫌いな人だから、ああ言っておけば大丈夫だろう。
俺は満次を引き連れ、闘技場を後にした。
* * *
「……モノ様、ご友人に挨拶もなくお帰りになってよろしいのですか?」
「いいんだよ別に」
満次を適当にあしらいながらズンズンと歩を進めていく。
そうこうしているうちに三叉路へと着いた。
本来なら寮に繋がっている左へと行くのだが……
「こっちだ。着いて来い」
「はい。ですがモノ様。行先を教えてもらってもよろしいでしょうか?」
いきなり違う世界に呼び出されたのに、肝の据わった奴だな、こいつ。
今俺たちが進んでいる道は学園の外、町へと続く道で、俺達の目的地は……
「今から俺の家に行く。そこでお前の事を教えてもらうし、お前の現状も教えてやろう」
そう。俺が今向かっている道はただの帰宅路。
我が親父、コウヤ・フジムラのいる屋敷への道だ。
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