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「あら、お坊ちゃま。おかえりなさいませ」
家の門を潜ると、あらとかいいながらちゃっかり目の前で控えていたメイド長のシイラさんに迎えられた。
この人俺や姉さんが帰るときにいつでもここで迎えてくれるんだよなぁ……
そして、未だによくわかってなさそうな満次をひっぱり、シイラさんと他愛もない話をしながら家の中へ入り、親父の部屋を目指す。
最近は仕事もないらしいし、どうせ部屋で一人でチェス(親父発明)でもやってんだろ。
親父の部屋に入ると、案の定親父はこちらに背を向けチェスに集中していた。
「親父ー、ただいま」
「ん?モノか。学校はどうした。まだ授業中じゃないのか?」
振り向きながら答えるのは30台後半に差し掛かるにしてはやや若く見える顔に俺と同じ黒髪黒眼、どこからどう見ても正真正銘俺の親父、コウヤ・フジムラだった。
「学校は今日は早退。それより親父この人知らない?」
そう言いつつ俺は満次を俺の前に押し出す。
「ん?………げ」
「コウヤ様……ご立派に成長なさられたようで私は嬉しいです!!」
「満次……?なんでここに!」
「なにやらモノ様の使い魔として呼ばれたそうなのですが……私にはさっぱりで……」
「……はぁー。なんでそんなとこで俺に似るかなぁー」
「で、親父の方がコイツに説明すんのはうまいだろうからよろしく。あとこっちの言葉もついでに教えといてねん」
そういって俺は満次を親父に押し付け部屋を後にする。
なかで親父の悲鳴が聞こえた気がしたが……まあ気のせいだろう。
さて、母さんにも挨拶しとくかな……
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