一章

17/25
前へ
/35ページ
次へ
「…………次は私。」 「……今度は何だ。」 「…………あなたは、『クロエ=リヒター』という女を知っているか?」 「……知らないな。いくら高位の軍人であろうとも知らないものはある。」 「余計なことは話さなくていいからねー。」 「ぐほっ!!」  とりあえず腹パン一発。 「な、何をする貴様!!」 「オッサン。あんたは今いわば捕虜だ。あんたの生殺与奪は俺たちが握っている。」 「ぐっ……。」  さて………。 「最後は俺だ。」 「これで最後なのだな。」 「ああ。最後だ。 お前は、『黒の男』を知っているか?」  知ってたら生かしてやろうかな。 「な!?黒の男だと!?」 「そうだ。四年前に、公国の首都でたった一人で大量殺戮事件を起こした張本人だ。 そして、俺はあの事件のたった一人の生き残りだ。」 「嘘だ!!あの事件は一人も生き残りがいないはずだ!!」 「実際にこうしているんだよ。生き残りがな。」  俺はあいつを殺すためにここにいるんだからな。 「で、知ってるのか?知らないのか?」 「知っているわけないだろう!!そんなやつ会いたくもないわ!!末恐ろしい!!」 「そうか。」  まぁ、あまり期待してなかったしな。きっとほかの連中もそうだろう。  あ。けど闇帝の情報は聞けたか。 「さて。他に聞きたいことがある人いるか?」  周りを見渡しても、誰も反応しなかった。  んじゃいいかな? 「イヴ。みんなをここから出してくれ。『掃除』をする。」 「了解です。」  あ。でも『死神』さんには見せた方がいいかな? 「死神さんだけ残ってくれ。半ば強制とはいえ、あんたが選んだ道がどういう道か教えておく。」 「…………わかった。」  そう。あんたが選んだ道は、恐らくかなり残酷な道だからな。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加