case1 職業斡旋

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「本気だよ。俺の今回の依頼は職業斡旋だからな」 葉巻を口から離し、フーと煙を吐いた飯田がこちらを見据えながら、それでもニタニタ笑顔のまま口を開く 「就活シーズンはもう終わりましたよ?うちもこの春に新人を沢山迎えましてね、ハッキリ言って今は人手が足りてるんですよ。ですからそういう話ならお引き取り願いたい」 飯田を半ば睨むように見据えながら一言 「そうですか。人手が足りてるんですか。それなら――」 パンッ 乾いた音が部屋に反響する 音源は俺の手に握られた、シューと煙を噴いている愛銃ガバメント その銃口は真っすぐと手近にいた赤羽組の下っ端の額に向けられている 確認する必要はない。クリーンヒットだ 「これで人手が足りなくなった」 飯田に目を向けながらそう言い放つと、以外にも他の下っ端より先に飯田が声を荒げた 「てめぇ!何しやがる!」 赤羽組は仲間を大切にすることで有名だ それ故か、仲間の仇となった俺にその場にいた下っ端のほとんどが拳銃を向けてきた 「てめぇ覚悟は出来てるんだろうな?あぁ?」 飯田がインターホンで聞かせたより数段ドスの効いた声で脅して来る 「御望みとあらば、もっと人手を足りなくさせるが?それよりも曽根を面倒みた方が建設的ではないか?」 その問答に飯田は答えない。この前のことを覚えている飯田にとってはその言葉がハッタリではないことが分かるのだろう 沈黙は是なり 「交渉成立。では曽根さんをよろしくお願いします」 ソファーから立ち上がり、銃口を向けられながら出入口へ向かう ポンッと曽根の肩を叩き、一言応援の言葉をかけると俺は颯爽と出入口から出ていった .
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