Ⅲ.rebellion《叛逆》

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「アハハハハ。 アンタがそんな台詞を吐くなんてね。 工場(NGSL)が無くなって、アンタが人の優しさにでも目覚めたとでも言いたい訳?」 「そうじゃ無い・・・ 君がこれ以上罪を重ねるのを見過ごせ無いだけだ」 藤沢はナナへ力説するものの、当のナナには白々しい言葉でしか無い。 客間のマホガニーの調度品や、目の前のマイセンのコーヒーカップ。 吹き抜けの様な高い天井と、60畳はあろうかという、だだっ広い客間。 弾けもしないであろう、グランドピアノが客間の片隅に鎮座しており。 その全てが豪勢であり、監視カメラや高い屏に囲まれたこの邸宅は、藤沢自身の心理を表わした最たる物であろう。 《得てきた宝物を誰にも奪わせはしない》 だからこそ。 ナナがシステムに対してオーロラを元に目論む事態は、藤沢にとっては不都合であり脅威となるのだろう。 自分を心配してる訳で無く、藤沢のおもちゃ箱が荒らされるのが困るだけなのである。 《人を実験動物みたいに扱っておいて、何を今さら》 とナナは思うが、だからといって藤沢を恨んでる訳でも無い。 お蔭で得れた物の方が大きいし、ある意味では藤沢に感謝する面もある。 ただ・・・ 自分の邪魔をしなければの話だが。 「はっきり言うわ。 アタシの計画は、アンタがアタシに処置した事の結果って訳じゃ無いし。 そもそもアンタをどうこうする気も無い。 それでも、アタシの邪魔をするんなら殺すだけの事よ」 冷笑を浮かべ冷たく言い放つナナに、藤沢はごくりと生唾を飲み込む。 「・・・それが君の答えなんだな?」 「アンタもウザいね。 アタシの考えは変わらない。 だったらアンタはどうすんの?」 ナナの涼しい顔に獰猛な笑みが浮かぶ。 「なら仕方ない・・・」 苦渋の表情を浮かべつつ、藤沢はテーブルの下にあるボタンを押した。 すると、六人のスーツ姿の男達が客間へと雪崩れ込み、スーツ内から銃を抜きナナへ銃口を向けた。 「アンタも馬鹿ね。 アタシを作ったアンタなら、これが如何に無駄な事か解る筈なのに」 ナナはフェザージャケットに隠していた、愛用の日本刀。 絶哭を取り出し、鞘から刀身を引き抜いた。
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