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それから数時間後。
麻里亜とリチャードは武装勢力残党の拠点周辺を偵察すべく、マングローブの木々が生い茂る山間地帯を進んでいた。
拠点がある学校に程近いこの場所であり、群生する木々は身を隠すにはうってつけである。
「ここに拠点を置けば、カモフラージュには最適だし、何より子供を拐うにも都合が良いって訳か・・・」
「チャイルドソルジャー・・・か」
麻里亜もまだ16歳という子供であり、年齢的にはチャイルドソルジャーという事になるのだろうが。
少なくとも、麻里亜は自分の意思で戦っており、誰かに強制されてという訳では無い。
しかし。
この国で問題となったチャイルドソルジャーはまるで違う。
子供達の意思など顧みる事は無く、麻薬で強制的に兵士へと仕立て上げ戦闘へと送り出していた。
内戦が終結したにも関わらず、未だにその後遺症で苦しむ子供達は多いという。
にも関わらず、その事が未だに続いてる事に麻里亜は怒りを覚えた。
「子供を強制的に戦いに駆り立てる連中は私が討つ」
サブマシンガンH&K・MP5を携え、両腰のホルスターには麻里亜専用のハンドガン・エンジェルウィスパーが納められ。
その他、ナイフやマガジンを身に付けた姿は戦闘的であり、リチャードも似たり寄ったりな姿である。
それは敵と遭遇した場合、即戦闘に対応出来るという事である。
「ぼちぼち連中の縄張りに
入る。
気を抜くなよ」
「了解」
炎の様な熱さを、その何倍もの冷気で封じ込めたかの様に、冷静に周囲を警戒しながら進む麻里亜の姿は、とても16の女の子とは思えない位に落ち着いている。
それは、部隊の隊長であるゲイリーの導きの賜物であり。
それ以上に、麻里亜が生まれ持った資質や心の強さが、そうさせるのであろう。
《全く・・・お前は大した奴だよ》
リチャードは日々成長を重ね続ける麻里亜に、改めて感心していた。
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