Ⅲ.rebellion《叛逆》

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二人が周囲を警戒しつつマングローブの林を進む中。 《ギャアァァァァーッ》 と、魂切る悲鳴が突如として林の中に谺した。 「!?」 視認出来る範囲では、周囲に敵の姿は無く、殺気も感じられ無ず、銃声が轟いた訳でも無い。 「敵の悲鳴? 戦闘による物とは思えないけど」 周囲を警戒する視線とMP5の銃口を連動させながら、麻里亜はリチャードを見る事無く尋ねる。 「解らんが。 敵のテリトリーに入ってる以上は、さっきの悲鳴は何かしら状況が動いたって事だな。 まずはそれを確認して、この状況を利用出来るなら使わない手は無い」 流石に歴然の兵士と思わせるリチャードの台詞であり、麻里亜は強く頷き、二人は悲鳴が発生したであろうポイントへと向かった。 程無く。 マングローブの林を抜けた先に、朽ちかける寸前といった木造の小屋が二人の視界に入って来た。 ここに辿り着く迄に、誰一人として敵と遭遇する事は無かったが、魂切る悲鳴は三回上がったものの、相変わらず銃声が響く事は無かった。 「ここが拠点の筈だが・・・ 周囲に歩哨すら居ないとはな」 「ええ。 いくら残党勢力とは言え、素人では無い筈なのに・・・」 相変わらず建物周辺に敵の姿は見当たらない。 「悲鳴も気になる所だが。 まずは二手に別れて建物外周を策敵した後、建物内へ突入し状況を確認しつつ制圧する」 「了解・・・」 と麻里亜が最後まで言い終わらぬ内に。 《ギャアァァァァッ!》 と、五回目の悲鳴が響いた。
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