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相変わらず銃声は無く、悲鳴は目の前の建物の中から聞こえて来た。
《どうする?》
《突入しよう》
《私が先に行くわ》
《・・・了解。
バックアップするから心配するな》
麻里亜とリチャードは指で合図を交わした後、二人は建物入り口へと走り出した。
突入を決めた以上は、如何に素早く敵を制圧するかが重要であり、そうなれば身を隠す必要も無い。
そして。
先頭を進む、麻里亜の状況判断力、反射速度、銃器スキルの高さと命中精度の高さ。
そういった諸々の戦闘能力は、長い事戦闘の只中に居るリチャードも驚嘆する程に高かった。
《戦闘能力は、お前はとっくに俺を越えている》
麻里亜の後に続くリチャードは、小さな身体に圧倒的な力を秘めた麻里亜を、確実にバックアップすべく気を引き締めた。
建物内の入口に辿り着いた麻里亜は、ドアすら見当たらない建物内へと突入した。
「!?」
生臭い血の匂いが建物内に立ち込め。
床には五つの子供の死体が横たわり、 その死体から流れ出る血は床に血溜まりを作っている。
そして、血溜まりの中にマチェット(鉈)を手にした男が立っていた。
「んだテメェは?」
訛りのある英語で、麻里亜を睨み据える男の顔はアジア系だった。
血溜まりの奥には、薬をキメ込んでいるアフリカ系の男が五人いたが、薬の酩酊感に酔っているのか、不意に現れた麻里亜を気にしてる様子も無い。
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