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翌朝。
「じゃあ行ってくるね。
パパも元気でね」
「ああ。
マリアも元気でな」
ゲイリーはそう告げた後、麻理亜を抱き締めた。
「ありがとう・・・」
暫し父の無骨な温もりに包まれた後、麻理亜はゲイリーに手を振り歩き出した。
長年住み慣れた家。
家の前に広がる草地には、微かに霜が下りている。
幼い頃に無邪気に走り回ったり、この草地の上で格闘技の組手を行ったり。
様々な思い出が眠る草地を、ゆっくりとした歩調で離れて行く。
かつて。
ここを出る時は銃を手に戦場へ向かう時であり、今は銃やナイフを持つ事もない新たな人生を探す為の旅立ちである。
「ありがとう・・・パパ」
尽きない感謝の想いを胸に抱きつつ、麻理亜は空港へと向かった。
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