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【AM 05:35 ナナ自宅】
心地良い気怠さが身体中を包んでいる。
硬く太い腕を枕に、等間隔に響いてくる心音に包まれながら、ナナは軽い寝息を立てて眠るカゲトの横顔を見つめた。
普段の何者にも動じない剛毅な顔は、今は年相応の顔に戻り穏やかな眠りに就いている。
「カゲト・・・
アンタには感謝してるわ」
カゲトの顔をじっと見つめるナナの胸に、愛しさと切なさが沸き起こり、その想いは自分の唇をそっとカゲトの唇へ重ねさせる事となった。
カゲトの眠りを妨げ無いように。
そっと慎重に・・・
「・・・愛してる」
眠るカゲトには届かないであろう言葉を囁いたナナは、唇を離し、ベッドから起き上がると裸のまま寝室を後にした。
後数時間で、計画の要であるオーロラを入手する事になるが、それはまたナナが直面する事態の激しさが増す事でもあった。
計画の大筋は何一つ問題無く進んでいるが、そこには激化するであろう戦闘も想定に織り込まれていた。
カゲトは最後まで付き合ってくれるとは言うものの、ナナとしては、オーロラ入手以降の事態にはカゲトを巻き込みたくは無いと思っている。
その半面・・・
互いの全てを晒す様に何度も抱き合う程に。
カゲトの能力や戦力としてのパートナーとしてでは無く、ただ愛する者としてずっと側に居て欲しいとも思えている。
NGSLの処置で壊れてしまったと思ってた、こういう切ない気持を覚える感情が残ってた事は自分でも驚きでもあった。
「アンタの顔見てると・・・
アタシはただの女みたいになっちゃうわ」
自嘲気味に呟いたナナは、オーロラ入手へ気持ちを切り替えるべく、シャワーを浴びに浴室へと向かった。
薄闇に淡く映えるナナの白い裸体は、どこまでも妖艶さに満ち溢れていた。
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