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  やっぱり部長って、お金持ってるんだなー。 なんて、品のいい店員さんと話す部長をぼんやり見ていると、部長がくるりとあたしに向き直る。 「彼女にも、合わせてやって」 「かしこまりました」 「…へ?」 あれよあれよという間に、あたしは状況が飲み込めないまま用意されたドレスに着替えていた。 自分では絶対に選ばない、コーラルピンクのドレス。 見慣れない姿にも、色にも、気恥ずかしくて、鏡に映った自分を直視することができない。 それなのにやたら着心地いいし。 服のサイズも、用意されたパンプスのサイズも、言った覚えはないのにぴったりって。 どーいうことよ? 「…いいじゃん」 ドレスに合いそうなアクセサリーまで合わせられていると、後ろから部長の声。 嬉しそうに目を細めてあたしを見る視線に、耐えられなくてうつむく。 俯いたのは、赤くなった顔を隠すためでもあるけど…。 高級スーツに着替えた部長がやたら色っぽく見えたからってのが、それが本音だなんて、絶対に言えない。 「それそのまま、着ていくから。コートは…」 ──はいぃ?
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