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…だよねー…。 「あたしだってプロだよ!手抜けっての?!」 怒る栞さんに対しても、部長は平然としている。 あぁ、空気が重い。 やっぱりあたしって必要なの? 部長がひとりで行けばいいのに! 男ひとりなら、30分あれば余裕でしょ! 火花を散らすふたりに挟まれるあたしが、一番かわいそうじゃない?! 「…赤のアウディ」 帰りますと、声をあげようとした矢先。 部長の一言に、栞さんの肩が揺れたのがわかった。 「最近のお気に入りだけど」 「なんの…」 「わかんないもんだよなー」 射抜くような眼差しで、片方の口角を上げながら話す部長は。 「…助手席のドア」 「さっ、30分で仕上げます!」 心底、…怖いと思った。
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