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「まきちゃん、あおと、ヘルプ!」 少しだけ青ざめたようにみえた栞さん。 でもすぐに、顔つきがかわって動き出した。 「…あの」 「言わないで、優花ちゃん!…あいつ、怖いから!」 …はい、あたしもそう思います。 栞さんを追い詰めるような勢いの部長は、心底楽しそうで。 楽しんでるのがわかって。 こんな人に捕まったら、きっともう、逃げられないに違いないと、…思う。 ってあたし、実際逃げられそうにないし。 今いったい、何人に囲まれているんだろ? お願いだから動かないで!と懇願する栞さん。ちらりと垣間見える表情は、まさに必死。 どうやって呼吸をしたらいいのかさえ迷いながら、あたしはただひたすら、30分が過ぎるのを待つことしかできなかった。
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