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仕事中と同じように、スーツ姿の部長が少しずつ近寄ってくる。
「え、え、なんで部長が!?」
フッと笑みをこぼしながら歩く部長に、あたしは無意識にバスローブの前をぎゅっとあわせていた。
「寝惚けてんの?…ま、忘れたなんて、言わせないけど」
言いながら、ぼふっと、あたしの真横に座る部長。
そのままスッと右手をのばして、あたしの頬に触れたんだ。
ドキドキと高鳴る心拍数。
「お、思い出したから大丈夫です!」
部長から逃れるように俯くと、さっきの右手が離れた気配がして、あたしはもう一度顔を上げた。
あれ、でもなんでスーツ?
「これ、渡しにきただけ」
目の前には、真っ赤なショップのバック。
「?部長、今日土曜日ですよ。会社、行くんですか?」
「様子見にきた。ついでにこれ渡しに」
「あたしに?なんですか」
言いながら中身をがさごそ…。
「え?!」
「あ、サンドイッチ頼んで置いてあるから、食えよ。俺はまた戻って仕事があるから」
丁寧に包装されたなかみは、淡いピンクの下着で。全く同じものが、なんと2セット入ってた。
「な、な、なんでピンク…」
よく見れば、下着メーカーで有名な、しかもあたしが手を出せないような高級品。
「選ぶ時間がなくて、適当に持ってきた」
「これ、すっごく高いんですよ!てか、なんでサイズ知ってるんですか!?」
適当に持ってきたくせにサイズは合ってるなんて、おかしい!怖い!
「カード使ったから、値段はよく見てないけど。サイズは…」
そう言って部長はしゃがみこみ、何かを手に取った。
「サイズはこれを参考に」
「きゃ──っ」
部長の手には、あたしが昨日していたハズのブラジャーが!
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