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だからって、ここで部長のことおとなしく待つのはなしだよねぇ…。
「──ぅわぁっ」
頭を抱え込んで項垂れるあたしのすぐ横で、ブブッと着信を知らせるスマホのバイブ。
ドキドキと高鳴る心拍数に堪えながら、画面を見れば知らない番号。
えぇ…。まさか、…部長?
『よかった!出てくれて~』
「──栞さん…?」
『そう!優花ちゃん暇でしょ?タクシーまわしたから、今からお店にきてね。待ってるね~!』
「え、あの、ちょっ…」
一方的に話終えると、容赦なく電話を切る栞さん。
あまりの勢いに、なぜかあたしも行かなくちゃと立ち上がる。
一瞬すっぴんなことに躊躇いはしたけど、化粧ポーチは手元にないし。
あわよくば栞さんに借りようなんて軽い気持ちで、スマホだけを持って部屋を飛び出したんだ。
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