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4人で丸いテーブルを囲み、中華料理を食べはじめた。
くるくる回るテーブルに、色とりどりのご馳走が並ぶ。
北京ダック、エビチリにフカヒレ。
次から次に運ばれてくる料理を器用に取り分ける、母の彼氏。
「たくさん食べてね」
「いらない。食べたくない」
こんな人がよそったものなんて、絶対口にするもんか。
「ごめんなさいね。修二さん」
母は申し訳なさそうに目を伏せ、頭を下げる。
「気にしないでね」と穏やかに笑う彼氏。
あたしの代わりに謝る母も、へらへら笑っている彼氏も気に入らない。
彼氏の息子は、ひとり黙ったままあたしの顔を見つめている。
どうして。
どうしてわかってくれないの。
早く帰りたい。
こんなところに居たくないよ。
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