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母が死んだのは、俺が小学5年生のときだった。
3年生のときに入院して2年間、母は入退院を繰り返した。
きっと元気になる。
そう信じて、父と2人、母を励まし支え続けた。
それなのに、母は逝ってしまった。
最期に、幸せそうに、笑って。
母さん。
よく頑張ったね。
辛かったね。
2年間も痛みと戦った母は、最後の最後まで生きることを諦めなかった。
俺は母さんを誇りに思うよ。
母がいなくなった家は、炎の消えたろうそくのように暗かったけど、父と2人助け合いながら生活をした。
中学も高校も楽しかった。適度に勉強してそれなりに恋もした。
志望大学にも無事合格したし、人生全てがうまくいっている。
そんな大学1年の秋、学校から帰ってきた俺に父が真剣な顔で言った。
「再婚を考えている」と。
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