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「俺、家族ができるかも」
大学入学と同時に仲良くなった綾野智(あやのさとし)に、父さんの再婚のことを先走って漏らしてしまった。
「お前結婚すんの!?」
「ばか。ちげーよ。お前声デカすぎ」
ここは大学の食堂だ。
あまり大きな声は出さないで欲しい。恥ずかしい。
智は「わりぃ」と謝り、さっきよりも小さな声で続けた。
「じゃあ、おじさん再婚すんのか?」
「そう。しかも、相手には中2の女の子がいるんだって」
俺は学食のうどんを啜る。
何とも味気ない薄味に、ふりかけ過ぎた七味唐辛子の絡みだけを感じて舌がピリピリした。
「えー!中2!いいなあ。羨ましい!」
羨ましいのか?
中2だぞ。
「知らなかったよ。お前ロリコンだったんだな」
「ばか。ちげーよ」
智は慌ててかぶりを振る。
いやいや。
いまさら否定したって遅いぞ。
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