君を守ること-side 瞬-

4/7
171人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
歩きだすとサクサクと砂浜が鳴く。 潮の香りと隣を歩く萌香のシャンプーの香りが、鼻をくすぐる。 ワンピースにストール姿の萌香は、身を縮ませながらぶるぶると体を震わせた。 「風邪ひくから」 俺は上着を脱いで彼女の肩にかけた。 やばい。 ワイシャツに一応ベストも着ているけど、冗談抜きで寒い。 萌香はもっと寒かっただろうな。 もっと早くに上着を渡せば良かったと後悔した。 「ありがとう」 上目遣いに俺を見つめ、可愛い笑顔を見せる。 マジやめて。 ドキドキするから。 罪悪感。 誰に対する罪悪感? 父さん?恵美さん? 俺が砂浜に座りこんだのは、寒かっただけじゃない。 真横にいる萌香を見つめていられなかったから。 海を見て気持ちを落ち着かせたかった。 こんな気持ちおかしいだろ? 今日は父親の結婚式だ。 それなのに俺はこれから妹になる女の子に、ドキドキしている。 5歳も下の中学生の女の子に、ハタチを越えた俺が恋するなんてありえない……というか、認めたくない。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!