君を守ること-side 瞬-

7/7
171人が本棚に入れています
本棚に追加
/120ページ
「萌香……?」 砂を見つめた大きな瞳から大量に溢れだしたそれは、萌香の頬を濡らし、作り途中の城に模様をつけた。 不安を隠してここまで来た彼女を、俺は心の底から愛しいと思った。 泣かないで。 約束するよ。 君の母さんは、新しい家族は、俺が必ず守るから。 誰よりも近くで、君の幸せを守り抜くから。 だから、その役目を俺にやらせてくれないか? 「大丈夫。何も不安はいらないよ。新しい家族は、萌香は、俺が必ず守るから」 萌香の背中に手を回した。 小さな肩があまりにも震えているから、 壊れてしまいそうで、崩れてしまいそうで、 怖くてたまらなくなったんだ。 君を守ると誓ったあの日。 同時に俺は生涯君の“兄”でいると心に決めた。 それなのに。 母さんと作った砂の城は、あっという間に波に連れ去られてしまった。 萌香。 俺は君の幸せも、波にのませてしまったのかな。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!