プロローグ

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フロアーに出ると、客はまだまばらだった。 ほんのり暗い店内に白いソファーがよく目立つ。 店内をぐるりと見渡すと、ガラス張りのVIP席に佐藤さんの姿があった。 隣には困惑した顔の女の子が座っている。 知らない女の子だ。 きっと入ったばかりの新人だろう。 その横にはスーツ姿の男性が二人座っている。 佐藤さんの連れだ。 ああ。たしか知り合いを連れてくるって言っていた。 売り上げ貢献ありがとう。 「マリアちゃん行ける?」 佐藤さんの背中を見つめていると、黒服に声をかけられた。 「大丈夫。行けるよ」 今日も短い、だけど長い夜が始まる。
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