1、魔法使いの素質

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古の時より人類の発展技術は科学であり、それを否定する魔法、占い、予知といった魔術は異教とされていた。 しかし、ある事件を境に科学技術は衰退し魔術技術が発展を遂げた。 その事について知ったのはまだ4才の時だったと思う。一人で寝れない俺を気遣って魔法使いの曾祖母が話してくれたのをよく覚えている。 話の中身は、英雄と言われた十人の魔法使いの話だ。 『まだ魔術や魔法が異教とされ科学が主な発展技術であった時、突如として空が漆黒の雲の渦に覆われ、数十の人為らざる者達が地表へと君臨した。 人類は持ち得る最高の技術と兵器によりこれを殲滅しようと試みた。 しかし、後に『悪魔』と称されるその者達は鉄を跳ね返し火や水、風を自由に操り反撃した。 それらの攻撃に人類はな為す術がなった。 あるはずのない場所に水が現れ、洪水となって人や街が流された。 突然鋭い風の嵐が吹き荒れ、人を裂いた。 海は荒れ、津波となって押し寄せた。 人類は数百万人の犠牲者、数千万人を越える負傷者を出した。 人々は恐怖した。 しかし、悪魔が現れ数十日がたったある朝、突如疾風の如く10人の異教者が現れた。 彼らは悪魔と同様の術を使い同等の戦いを行った。 長きの戦いの末、彼らは相討ちというかたちで魔物の殲滅に成功したのだった。 その後この戦いは"聖戦"と言われ10人の異教者は"英雄"として末代にまで語られる事となった。 この戦いで大損害をだした科学技術は衰退し代わりに魔法が発展を遂げたのだった』 この話が本当であるかは分からないが、少なくとも太古の昔に科学と言われる技術があったというのは確かなようだ。
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