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ブレーカーにはよくあることだ
しかし、それには、力を持つものも死なないという大前提がつく
今の、この状況で、その前提が成り立つとも思えない
「お願い、纓二。君は生き延びるの」
メルさんは僕の額に唇を当てた
それで、全てを悟った
思いたくない事を、悟った
悟ってしまった
「“来たれ 敵を打ち砕く者 強敵を拘束する宝具 その力を持って我が願い 我が愛する者を守る力を与えたまえ『レイフグレイプニル』”!」
メルさんは唱える
それは、魔法具の召喚呪文
メルさんの周りに集まったのは、幾つもの青い光
そして、緑の光
青と緑がそれぞれに集まり
一つの形を形成する
それは、如何なるものであれ拘束する
鎖
幾つもの茨の棘がついた鎖である
「“風よ来たる時に至るまで守護したまえ『ガフナレイトール』”」
続けて唱える
これは僕に対しての守護魔法だ
風の結界を体の輪郭に合わせて形成される
「纓二、行きなさい」
それらが全て完了すると
メルさんは耳元でそう囁いた
僕は、、、全力で駆け出した
後ろを振り返る事なく
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