第1章 混迷の基盤世界

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・・・ ・・・ ・・・  目覚めたのはさっき。  冷たい氷の上で。  私は、慌てて周りを見回した…。  「…?…ご、ご主人様?…どこですにゃん?」  転移空間で一瞬見失ったものの、私とご主人様は、間違い無く一緒にこちらの世界へ戻ってきたのに。えっと…あぁ違った…ご主人様にとっては、初めていらっしゃったことになるのか…  「ご主人さ~ま~………マモルさま~ぁ~あ…」  再び大きな声で呼んでみたけれど、私の声は粉雪混じりの風に飛ばされるようにすぐに消えてしまった。  今、どの刻頃なのか分からないけれど、辺りは妙に薄暗い。  1周旬(かげつ)ぶりに帰ってきたけれど…このような天蓋の色となる刻などあったかしら?  そう思った次の瞬間。  丘の下向こう側から「どぉぉおおん!」という凄い音が聞こえてきてビックリした。  正直…ちょっと下着が濡れちゃったかも………うぅ。ご主人様がいなくて良かった?  でも、そのぐらいの轟音と…そして衝撃のような振動だったの。  急いで丘の頂上へ登ると、開けた向こう側の平原に燃え上がる村の様子が見えた。 ・・・
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