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もちろん、真夜中である。
一時間以上を費やしたどり着いた夜の病院は、大倉にとってはもはや見慣れた光景だった。
彼はこの時の心情を「怖くもなんともなくて、ただただ面倒臭かった」と告白している。
しかし一方、友人Aはノリノリだった。懐中電灯を片手に車から降りると、彼は皆を急かすように病院の入口へと歩き出したという。
この病院は斜面に建てられているせいか、造りがやや特徴的である。
まず一階の入口から入ると左手側に狭い階段があり、それを昇ると二階正面に受付がある。
一階には何も見るべきものはなく、大倉曰く『二階に上がらなければ意味がない』そうだ。
前もってそれを聞いていた友人Aは、ためらうことなく階段を目指したらしい。
ちなみに大倉も、初めてこの病院を訪れた時は恐怖で足が動かなかったという。
それを考えると、この友人Aの肝っ玉はなかなか大したものであると言えよう。
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