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しかし、周平は目をグッと閉じ、その気持ちを振り払う。
昔みたいに集中すれば十分追い付ける、と自分に言い聞かせる。
高校受験で難関校に受かったのだから、またきっと出来る。
そう心を定め、教科書を読みこもうとしたその時、背後から物音がした。
ドンッ、と壁に何かがぶつかるような鈍い音。そして、ウウーと、低く響く音。
その音に周平は振り返る。そしてため息が出た。
(……またか)
ちょうど自分の真後ろ、本棚のあたりからこの音が出るのに気付いたのは、この部屋に来て間もないころだった。
はじめは慣れずに不気味だったが、この古い家のことだ、どこかから隙間風が入って来ていて、それがこの壁の内部の何か硬い物とぶつかって音がしているのだろう、と思った。
低い音は隙間風がどこかの空洞に反響している音ともとれる。
周平はいつものようにバッグから音楽プレーヤーを取り出し、イヤホンを耳にあてがった。
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