1 兆候

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二階まで吹き抜けの空間。それを支えるような形ではめこまれた大きなガラス窓からは外の光が入って来て、ホール一面はその光で満たされている。 初見なら、誰もがその場に立ち止り、しばらくその立派な玄関ホールを隅々まで見回したくなるだろう。 しかし、周平はそんなものには目もくれず、向かって左に伸びた一階の廊下をずんずんと歩いてく。 その廊下の一番奥の角部屋が、周平の部屋だった。 簡素なドアを開けると、まず目に入ってくるのは小さな窓、その脇に置かれた、アンティーク調ではあるが小ぶりのデスクだ。周平はいつもこのデスクで勉強をしている。 右手には年季の入ったベッドとクローゼット。 ベッドの横には本棚が置かれていた。この本棚に入れられている本は前の住人が置いていったもので、周平はまだ一度もそれらに触ったこともない。
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