1 兆候

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落ち着いた色の赤いじゅうたんが切れ目なく続く廊下。立派な柱、高い天井、右手には大きな窓が規則正しく並んでいる。 その長い廊下を歩きながら、周平はつくづくこの家のうるさいほどのきらびやかさにうんざりしていた。 大正時代あたりに建てられた洋館だという。 元貴族の御用邸だか豪商の成金屋敷だか、はじめにいろいろと説明されたが、周平はよく覚えていなかった。興味が無い情報はなかなか耳に残りずらい。 この家に引っ越してきたのは、周平が高校に上がったころだった。
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