出逢い

2/8
前へ
/14ページ
次へ
わたしと、猫のリンナの出会いは、都内のペットショップだった。 当時、フリフリでラブリー、気合いが入っていないと着こなせないロリータファッションを貫いていたわたしは、とあるビルでお買い物を楽しんでいた。 本屋さんを見ていると、女の子たちの 「かわいい~!」 という声が聞こえたので、さも当然かのように 『わたしの事』 だと思い、振り返ると…。 あれ?女の子たちは、わたしを見ていない…。 彼女らの視線は、本屋さんの反対側にあるペットショップのガラスケースに居る、子猫ちゃんだったのだ。 なぁんだ、猫かぁ。と、思いつつ、彼女たちが去って行った後、子猫ちゃんを見てみた。 ふわふわとした、柔らかそうな少し長めの毛。シルバーとホワイトのしましま模様。 でも、その子猫ちゃんは、ショーケースの中に居る事は居るんだけれど、お尻を向けていて顔が見えないし、愛想もあまりよくないように思えた。 ふーん…。と思いながら、にゃんこプロフィールを見てみた。 …!!わたしの中に、衝撃が走った。 なんと、子猫ちゃんのお誕生日が、わたしの好きなアーティストと同じ誕生日だったのだ! 毎回ライブへ行く度、ファンレターを書いていたあの人と。 運命だ!性別を見ると、好きなアーティスト(以下、Oさん)と同じく『♂』。ますます運命を感じるわたし。 もう辛抱たまらん!と思い、店内へ入り、店員さんに、にゃんこの事をたずねてみた。 「ウチはもう、猫を取り扱うのをやめる事にしたんです。あの子は最後の子なんですけど、売れないから社長が昨日から半額にしたんです。」 確かに、子猫の割にはお手頃価格。でも、何故この子猫だけ売れ残ったんだろう? ショーケースから、店員さんが子猫ちゃんを抱っこをして取り出し、わたしに見せてくれた。 …あれ?あんまり可愛くない。 売れ残った理由は、これかぁ。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加