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わたしは急にさみしくなった。
他の誰かのところへ、この子が貰われて行くのかも知れない…。
ふわふわしてるし、子猫ちゃんでこの価格(確か10万円しませんでした)。
絶対に貰われて行っちゃうよ…。
いや、でもこれは運命かどうかが試されているのかも知れない。
わたしは、これから子猫ちゃんを見に来る人が、この子をお迎えしたら、この子とわたしにはご縁がなかったという事にしよう、と、勝手に決めた。
この時、にゃんこちゃんを奪われたくないという気持ちがわたしの中に芽生えた。
そして、この子を見に来る人を待つ事にした。
その人達は、すぐにやってきた。若いカップルだった。なんとなく、お金持ちそうな雰囲気が漂っていた…と、勝手に思っただけですが(笑)
余りにもすぐにやってきたので、少し驚いたし、どうなるのかドキドキしながら、少し離れたところから観察してみる事にした。
カップルの女性が、子猫ちゃんを抱っこして、「可愛いね~」と言っている姿を、イケメン彼氏が優しい眼差しを送っていた。
いいな、イケメン彼氏。
…ん?んん?
あの子猫ちゃん、わたしの時は暴れたのに、このお姉さんには暴れていない!
軽くショックを受けながらも、観察を続けた。ちょっと…いや、ロリータファッションだったから、かなり怪しい光景だっただろうな…。
女性は、優しく抱っこしていた子猫ちゃんを店員さんに返し、「ありがとうございました。」と、軽く会釈をして、そのカップルはすぐにお店を後にした。
余りにもあっさりと帰って行ったので、ちょっと信じられなかった。
一体何をしに来たんだろう…。そのくらい、すぐに帰って行ったのだ。
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