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むかし2 緊張
「ねぇ真理も持ってみなよ」
突然名前を呼ばれ、さらにとんでもない事を言われてしまった。
私は二人に怖いと伝えたが、
「大丈夫だよ~」
と軽く流されてしまった。
そして私の手のひらに、小さな卵が乗せられた。
「ひいいぃぃ」
とか、情けない声を上げてしまった気がする。
あまり怖がるのもこの卵に失礼だと思った私は
、意を決して顔を近づけてみた。
欠けた部分には、少し乾燥した暗いピンクが見えた。
黒に近い部分の方が多かった気がする。
それと、微妙にピクピクと動いていた
自分が緊張していたからだろうが、
手だけがドクンドクンと脈打っているような妙な感覚が、
その卵を持っているあいだじゅう私を支配していた。
少し、あたたかかった覚えがある
まだ生きている、まだ大丈夫……まだ…
そう思いながら卵をみつめ、それから美歌に渡した。
とても緊張して、フラリとよろけそうだった。
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