出張&護衛

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「え? いいのか? じゃあお言葉に甘えさせてもらうぜ」 少女の提案にアル爺は驚いた様子だ。 「おい嬢ちゃん、そんなことしなくても……」 「いいのよ、私、この人に迷惑かけちゃったから。 あと……少しだけ値下げしてくれない?」 片目を閉じてウィンクしながらの少女のお願いに、アル爺はため息をつきながら額に手を当てた。 「かー……誰に似たんだか…… 仕方ねェ、ちょっと待て。 嬢ちゃんの頼みと死ぬ前に一目拝めたリンドブルムじゃ。 大出血サービスしてやんよ」 そう言ってアル爺は露店の奥へ言ってゴソゴソと何かを漁り出す。 「そういや、まだアンタの名前聞いてなかったな」 「え……あ、そういえばそうね。 私は…………エク……エリーよ」 少女――エリーの名前を聞いてネイムは頷いて改めて自己紹介をした。 「そうか。 さっきも言ったが、俺はネイム そんでこいつはサクラっていうんだ」 「……フシュー」 「……まぁ、今は無愛想だけど、普段は結構人懐っこい奴なんだ」 サクラを撫でながらなだめるネイム 撫でられているサクラを見て、エリーは微笑ましそうな表情をする。 「最初見た時は変わったワイバーンだと思ったけど……まさかリンドブルムだとは思わなかったわ」 「ワイバーンの毛の色って違うのか?」 「普通は灰色なのよ。 人が乗る飛竜は基本ワイバーンだけだから、ラグーゼンで見る飛竜の幼体はみんな灰色」 「へぇ……じゃあ、毛の色以外は他は一緒なんだな」 「幼体の時はね。 ワイバーンと違って、リンドブルムは頭部に角が生えるらしいの」 「ほぅ……」 (そういやサクラの親にも角らしき物があったような気がする) 「おー! これじゃこれじゃ!」 露店の奥からアル爺が大きな木の箱を持ってやって来る。 かなり古い物なのか、埃をかぶっているのがネイム達からも見えた。
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