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火を吐きだしたサクラを見て、ネイムは驚愕
そしてエリーは別の意味で驚愕していた。
「ち、ちょっと! 溶けてる!
壁が溶けてるっ!!」
「あ、やべっ!
サクラ、止めっ!」
「――カーー…………ピ?」
ネイムの言う事が聞こえたのか、サクラはすぐに火を吐くのを止めた。
しかし、サクラの焔の直撃を受けた壁は既に一部が溶解していて、ここだけ壁が薄くなっていることは確実だろう。
「がははははっ!
大したもんじゃ!
そのリンドブルム、確かにおめぇに懐いてるらしいのぉ!」
豪快に笑うアル爺の方に向き直り、ネイムはその手にある手綱のことを尋ねた。
「……アル爺、この手綱、もしかして俺の考えをサクラに伝えるのか?」
「おうよ!
飛竜の中でも知能が高いリンドブルムだ、言葉は無理でも、その意思を手綱を通じて送り込んでやれば勝手に理解できると踏んで作られているんじゃ」
「それは凄いな……あれ?
でも、これって凄く高いよな?
さっきの冗談かと思ったけど……俺、そんな大金は今手持ちに無いぞ?」
この手綱があればネイムはサクラを確実に完璧に従えることはできる。
習得が難しいと思っていた飛行訓練だって、この手綱を使えばより効率的に行える。
モリアに頼めばそのくらいの金は出してくれそうだが、ここはトールキンで、頼ることはできない。
「出世払いでかまわん」
「……え?」
アル爺の言葉にネイムは驚く。
「ネイム、おめぇがそいつを駆る立派な竜騎士になった時に、払いに来ればいい。
そんで、おめぇにとってその手綱がどれだけの価値なのかおめぇで決めろ」
「おじいちゃん、でもそれ……」
エリーが何か言おうとしたが、アル爺はそれを手を軽く上げて制した。
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