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ネイムは二人のそんな様子を見て呆れた。
「おいマリア、お前駅にいた時なんてほうし――」
その瞬間、マリアは今まで見せたことが無いほどの瞬発力を見せて席から立ち、ネイムの口を手で塞いだ。
「…………言ったらただじゃ済まさないわよ?」
――報奨金欲しさにこの依頼にやる気を出していた。
下心アリアリな事実を皇女であるエリーに知られてしまうことはマリアにとっては絶対に防ぎたいことだった。
「……(コクコクコクッ)」
あまりに眼力と迫力にネイムは口を塞がれたまま素早く頷く。
「ピィィ……」
そして手綱からネイムの恐怖心が伝染したのか、サクラまでマリアを怯えた目で見ていた。
「あ、サクラちゃんには怒ってないから大丈夫よ?」
そう言って、マリアはネイムから手を離し、破顔させて優しくサクラの頭を撫でる。
「うわー……やっぱりいつ触ってもモフモフしてるー……」
うっとり顔でサクラを撫でるマリア
そんなマリアを見て、エリーは優しく微笑んだ。
「飛竜、好きなの?」
「え……あ、その……飛竜っていうか…………その、こういう守ってあげたくなっちゃうような感じなのが好きです」
多少しどろもどろになりながらも、マリアはちゃんとエリーにそう答えた。
「まぁ、そうよね。
トールキンでも、小っちゃい頃の飛竜は好きだけど、成体になった飛竜は苦手って人結構いるもの。
この子たち、幼体の頃は本当に可愛らしいのよね」
そう言ってエリーも手を伸ばし、サクラの頭を撫でてあげた。
「ピィ~」
最初に触ろうとした時は威嚇したサクラだが、今はそのようなことは無くリラックスした様子で頭を撫でられている。
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