訓練&協力

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そんなサクラを撫でることが出来て、エリーは顔をほころばせる。 「わぁ……本当に普段は人懐っこいのね?」 「だから言ったろ。 それに今はアル爺秘蔵の手綱のおかげでかなり大人しくなったし」 ネイムはその右手首に巻かれた手綱を見せる。 「あ…………そう、ね」 「?」 エリーが手綱の話題になると急に言葉の歯切れが悪くなった。 ネイムはこの手綱のことでエリーが様子をおかしくしていたことを思い出す。 「あの時は訊かなかったけど……この手綱のことで何か知ってんのか?」 「え…………それは…………」 エリーはそこまで言って言葉を詰まらせてしまう。 エリーのその様子を見てネイムは軽く頭を掻いた。 「…………まぁ、言いたくないならこれ以上訊かないが」 ネイムのその言葉にエリーは申し訳なさそうに頷いた。 「……ごめんなさい。 あまり、楽しい話ではないから」 「良いって別に それよりさ、折角五人もいるし、この馬車にはボードゲームやカードもあるんだから今のうち遊んどこうぜ」 「……遊ぶって、俺達は一応任務中だぞ?」 シオンがたしなめようとするが、ネイムはその言葉を聞き入れるつもりは無かった。 「どうせ次の宿に着いたら一人づつみっちり近衛の人にしごかれて動けなくなるんだぞ? 今のうち遊んで、英気を養っておくってのもいいだろ? エリーもボードゲームやカードはわかるよな?」 「ええ。チェスではトールキンでもかなり強いわよ、私」 「だそうだ。折角だしワイワイと楽しく過ごそうぜ」 「私……ボードゲームとかやったこと無いんだけど」 「私も……カードは少し解るけど……」 「大丈夫よ。簡単だし、私が教えてあげるから」 不安そうなマリアとマルタにエリーがそう言ってあげ、場の空気はネイムの言ったように遊ぶ方向にシフトしていた。 流石にこうなってはシオンも特に文句を言ったりはしなかった。 「よーし、第一回ゲーム大会in馬車を始めるか」
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