相談&取引

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カリウスは首を横に振った。 「クライシアの魔灰輸入量は、さきほど言った小国の数倍 そしてトールキンの魔灰輸出の半分はクライシアです。 とても国内では消費しきれません。 今はまだ蓄えているんです。 すぐではないでしょうが……技術の発展で魔灰採掘量が年々増加している現状から考えれば、一〇年か二〇年先……新たな鉱山を見つけない限りはトールキンで資源の枯渇が発生するでしょうね。 そうなれば、トールキンは最悪、世界地図からその名が消えるでしょう。 それだけではない。 魔灰をクライシアは高額で他国に輸出するようになり、市場が混乱するでしょうね」 「……いくらなんでも、話が誇張され過ぎです。 あまり現実的ではありません」 「それは認めます。 ですが、これも可能性の一つであると、お考えください。 ……さて、少し話が横道にそれましたが……最初に殿下が提起した問題の解決策をお話しましょう」 そう話を切り出すカリウスに、エリーは不信感を抱いた。 (明らかに、アルギムが有利になるような案に誘導されている。 本当に……この人を信用していいの?) そう思っていた時、カリウスは次の案を出してきた。 「まず、僕ならクライシアの技術者を国内に引き抜きます。 そして、地方都市に魔導機関の工場を作り上げるでしょうね」 「……国内に、工場を?」 「はい。トールキンで、トールキン製の魔導機関を造り上げるんです。 そして工場の近くに集合住宅も作り、工業団地、と言う具合に労働者家族がまとめて生活できる環境を完成させます。 技術が発展して、人数が少なくても採掘が行えるようになれば、その労働力を工場に回せば済む話ですし、これはそう難しい話ではありません。 これによって過疎化と高齢化はもちろん、地方での経済格差はなくなり、国内のコンパクトな資源と製品の流通が可能となります」 「……確かに、そう、ですね」 地方の問題を、国際的観点から解決策を模索する。 エリーには思いもつかなかったやり方だ。 目から鱗が落ちる思いだ。
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