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「ちょ、離して下さい!」
「い、嫌です。離して欲しければアイドルに!」
というやり取りをかれこれ十分程やっているのだが、俺も武田さんも一向に諦めようとしない。
「い、いい加減に、離して……下さい、よ!」
「だ、だから……アイドルに……」
今は急いでてそれどころではない。しかし、返事を返さなければ絶対にこの人はこのまま手を離さないだろう。
(これ以上遅れると入学式が終わっちまう!)
「あー、もう。わかったよ、アイドルになればいいんだろ」
武田さんが手を離してくれるなら、と俺は投げやりに返事を返した。
すると、ようやく観念したか、という表情で武田さんは手を離し、懐から地図が書いてある紙を俺に渡してきた。
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