第1話 寝坊しました。

12/18
前へ
/18ページ
次へ
「ちょ、離して下さい!」 「い、嫌です。離して欲しければアイドルに!」 というやり取りをかれこれ十分程やっているのだが、俺も武田さんも一向に諦めようとしない。 「い、いい加減に、離して……下さい、よ!」 「だ、だから……アイドルに……」 今は急いでてそれどころではない。しかし、返事を返さなければ絶対にこの人はこのまま手を離さないだろう。 (これ以上遅れると入学式が終わっちまう!) 「あー、もう。わかったよ、アイドルになればいいんだろ」 武田さんが手を離してくれるなら、と俺は投げやりに返事を返した。 すると、ようやく観念したか、という表情で武田さんは手を離し、懐から地図が書いてある紙を俺に渡してきた。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加