第1話 寝坊しました。

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指摘され、俺はボサボサはねている髪の毛を指先で少しいじる。まるで髪の毛の感触を確かめるように。 「はぁ……、すみません」 先程と同じ返事を返す。 (俺だってこんな髪型嫌ですよ……) すき好んでこんな髪型にする奴がいたら見てみたい。 「で、遅刻した理由を言いなさい」 「……寝坊です」 俺がそう言うと、先生は髪の毛に視線を向けて納得したような顔になる。 「寝坊ね。せめて髪型整えてから学校来なさい」 寝坊というのは実は嘘だ。この学校は入学式が九時半から始まる為、あのまま何事もなく学校に向かえば遅刻などしなかったのだ。 そう、何事もなければ……
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