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ゴールデンウィークに入る頃、工場は休みの予定だったのだが大口の得意先様から急ぎの仕事が入った。
おじさんたちは孫が帰省するとかで出勤できないと言ったが私は特に予定もなかったので休日返上して働いた。
一日中工場長と一緒だった。
ゴールデンウィークの最終日、仕事を5時に切り上げて食事でもご馳走しようと工場長が言ってくれた。
お言葉に甘えることにした。
工場長は、近所にある馴染みだという鮨屋に私を案内してくれた。
どうせなら肉のほうがいいなと思ったのだったが、思いのほか鮨は美味しかった。
思えば私は貧乏だったので、回転すしですらまともに食べたことなどない。
だって一皿100円もするなんてとんでもない。
男との生活では1食100円がいいところなのだ。
工場長が連れて行ってくれた鮨屋のメニューには値段が書かれていなかった。
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