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握っていた手。
指を絡ませたら、カズが立ち止まる。
少しだけ俺を見上げる大きな目、赤い唇。
「恋人繋ぎ」
絡ませた指に力をこめて。
たぶん知らないだろうカズに教えてあげた。
繋いだ手を持ち上げて、絡めた指をカズに見せる。
じっと見つめるその瞳には、俺たちの手が映ってる?
カズの目に映るのは、俺だけにして。
カズの耳に聞こえるのも、俺だけにして。
カズに触れるのも、カズを呼ぶのも、カズのそばにいるのも。
全部全部、俺だけにして。
「なぁ、ノボル」
てくてく歩く俺の横。
ぺたぺた歩くカズが言う。
「……結婚、したらさぁ、俺が和田和になってやろうか?」
赤い唇を尖らせて。
かわいいかわいい俺のカズ。
しんぶんし。
たけやぶやけた。
カズと俺。
ー 完 ―
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