585人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
横並びで階段を上る。
重い扉を押しあけて、切り取られた小さなスペース。
「ぉお、いい天気」
青空が気持ちいいな。
フェンスに持たれて立つノボル。
今日も男前。
俺が美術部だったらモデル決定。
「お前の絵、描いていい?」
「へのへのもへじ?」
「男前のな」
俺の才能をもってすれば、へのへのもへじもイケメンだ。
小学生のころ画伯と呼ばれた。
なんでもない学校の花壇も、俺にかかれば宙に浮いて見えるってさ。
「俺、カズの絵好きだよ」
図工の成績は2だったけどな。
美術になっても2のままだけどな。
レベルが高すぎて理解できないんだろう。
いいんだ、ノボルがわかってくれれば。
「トッポ食べる?」
「食う」
フェンスに持たれて横並び。
ノボルは校舎のほうを見て、俺は空のほうを見て。
お互い顔を右に向ければ、向かい合わせ。
1本のトッポを両側から食う。
間近で見ても男前。
優しいし、器用だし、魔法のポッケだし。
いいなあノボル、最高だ。
最初のコメントを投稿しよう!