タケ

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横並びで階段を上る。 重い扉を押しあけて、切り取られた小さなスペース。 「ぉお、いい天気」 青空が気持ちいいな。 フェンスに持たれて立つノボル。 今日も男前。 俺が美術部だったらモデル決定。 「お前の絵、描いていい?」 「へのへのもへじ?」 「男前のな」 俺の才能をもってすれば、へのへのもへじもイケメンだ。 小学生のころ画伯と呼ばれた。 なんでもない学校の花壇も、俺にかかれば宙に浮いて見えるってさ。 「俺、カズの絵好きだよ」 図工の成績は2だったけどな。 美術になっても2のままだけどな。 レベルが高すぎて理解できないんだろう。 いいんだ、ノボルがわかってくれれば。 「トッポ食べる?」 「食う」 フェンスに持たれて横並び。 ノボルは校舎のほうを見て、俺は空のほうを見て。 お互い顔を右に向ければ、向かい合わせ。 1本のトッポを両側から食う。 間近で見ても男前。 優しいし、器用だし、魔法のポッケだし。 いいなあノボル、最高だ。
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