585人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「養子縁組より……結婚がいいな」
視線をそらして呟いて。
唇と耳が赤いカズ。
いっつもべったりそばにいて。
純粋培養で育てたから。
腐女子も知らないかわいいカズ。
「ご飯食べに行こっか?」
餌付けは大事。
健康にかわいく育てなくっちゃ。
「お好み焼きにする?たこ焼きがいい?」
赤い唇にソースがつくのが、かわいくて好き。
「お好み!」
立ち上がって手を伸ばす。
「ノボルが焼けよ」
タケヤブって呼ばれている俺たち。
和田って呼ばれることもほとんどなくて、ノボルって呼ぶのはカズだけで。
カズって呼ぶのも俺だけなんだ。
俺の隣にはいつもカズがいて、カズの右手は、今は俺の左手の中。
学校を抜け出して、商店街を二人で歩く。
てくてく歩く俺の横。
ぺたぺた歩くカズがいる。
てくてく、ぺたぺた。
てくてく、ぺたぺた。
最初のコメントを投稿しよう!