ヤブ

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「養子縁組より……結婚がいいな」 視線をそらして呟いて。 唇と耳が赤いカズ。 いっつもべったりそばにいて。 純粋培養で育てたから。 腐女子も知らないかわいいカズ。 「ご飯食べに行こっか?」 餌付けは大事。 健康にかわいく育てなくっちゃ。 「お好み焼きにする?たこ焼きがいい?」 赤い唇にソースがつくのが、かわいくて好き。 「お好み!」 立ち上がって手を伸ばす。 「ノボルが焼けよ」 タケヤブって呼ばれている俺たち。 和田って呼ばれることもほとんどなくて、ノボルって呼ぶのはカズだけで。 カズって呼ぶのも俺だけなんだ。 俺の隣にはいつもカズがいて、カズの右手は、今は俺の左手の中。 学校を抜け出して、商店街を二人で歩く。 てくてく歩く俺の横。 ぺたぺた歩くカズがいる。 てくてく、ぺたぺた。 てくてく、ぺたぺた。
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