償い

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キーン コーン カーン コーン … 一学期の終わりを告げる鐘が鳴る。 「きりーつ、礼っ!」 日直の号令に合わせ、まだ就任したばかりの担任に、生徒たちはバラバラと頭を下げた。 「はい、みんな気を付けて帰るよう…」 『うえぇーい!夏休みだぁー!!』 「ねぇねぇ、みんなで海とか行こうよ!」 「花火もしたくね!?」 「祭りだ祭りぃー!!!」 挨拶し終わる前に騒ぎだす生徒たち。 それを止めることも出来ず、担任は少し寂しそうな表情で教室を出て行った。 「……。」 その様子を、教室のドアから一番遠い席に座って眺めていると 「沙耶(サヤ)っ!明後日、18時に駅だからね!」 バンっと私の机に手をつき、満面の笑みで瑠海(ルミ)が話しかけてきた。 小刻みにぴょんぴょんと跳ねながら、大きくパッチリとした目を輝かせ私の返事を待っている。
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