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海、花火、かき氷… 夏休みは荒々しく過ぎていき、今日から新学期が始まった。 瑠海とはあれから、なかなかお互いの予定が合わず会っていない。 夏休みのほとんどを家族で海外へ行き過ごしていたらしい。 私は私でバイトなどが忙しく、クラスの何人かから誘いもきたが全て断った。 結局、夏休みにクラスの誰かと会ったのは、あの花火大会の日だけ。 あれ以来、クラスメートと合うのは今日が初めてだ。 「沙耶ぁ~久しぶり~!!」 「うぃーす沙耶!」 「おはよ~!!!」 教室に入るなり、みんなのテンションの高さに思わず後ずさりする。 「お、おはよ。」 日に焼けた人、少し痩せた人、太った人… この約1ヶ月という長いようで短かった夏休みは、クラスのみんなを少しだけ成長させていた。 テンションが高すぎるクラスメートたちは一旦置いといて、私は前のドアから教室を見渡す。 「瑠海、まだ来てないのか。」 取りあえず、そのまま教室の一番後ろにある窓際の席に座り、瑠海が来るのをのんびり待った。
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