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「だから謝ってんだよ。お前のことだから、俺たちかばうために自分が目つけられるようなことでも言って逃げてきたんだろ?」
「……ぃゃ」
「俺があそこで声かけなかったら、そうならずにすんだかもしらねぇのに。だから、ごめ…」
と、もう一度謝ろうとした新庄の口に、私は慌てて自分の手を押しあて、その言いかけの3文字を止めさせた。
「…助けようとしてくれたのは、むしろ感謝してるから。だから、もう謝らなくていい。…謝らないで。」
私がそう言うと、新庄は静かにコクンと頷き、押しあてられている私の右手を優しく掴んだ。
そのまま自分の口からその手を引き離し、安心したかのようにうっすらと八重歯を覗かせる。
やっぱり、調子狂うな…この八重歯。
その笑顔に思わず引っ込めようとした私の手を、新庄は力強く掴み離さない。
「……ッ」
すごい力…
さすがは野球部の次期エース。
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