第零章

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男のいうとおり、後ろを振り向くとそこには巨大なインターセプターがガラス越しにこちらをじっと見つめていた。 むろん、AIが乗るのだから、ヒトガタをしている。 しかし、頭から凹凸が三つ出ていて、だらりと垂れ下がっているし、へんてこな怪獣のようだ。 完全なヒトガタではない。なぜかは知らないし、興味もないが。 「それ……。いや、彼、と言ったほうがいいかな?彼が君のパートナーになる、タウだ。仲良くしてやってくれ」 タウ。口のなかで呟くと、かすかな光が点滅した。 まるでこちらのことをわかっているように。 「彼も人工知能が備わっている。正真正銘、君のパートナーだ。タウ、挨拶をしなさい」 ぎぎっ、と音がして、紫色の光が点灯した。 「俺はタウ。よろしく頼むよ。まあ、今はこんなナリだけど、ちゃんと人間サイズのホログラムも造ってくれてあるから安心しろ」 何を安心するのかわからないが、あいまいにうなずく。 男は満足したのか、タウから視線をはずして、バスタオルのような大きなタオルをこちらに渡してくる。 「さて、挨拶も終わったし、君はこれからテストを受けてもらう」 テスト。なぜか嫌な響きだ。 シャワールームに押し込まれて、体についた液体を洗い流すと、ふいに咳が出る。ようやく声帯もなじんでくれたようだ。 「あー」 我ながら、第一声が「あー」とは、面白みのかけらもない。 シャワールームから出ると、すぐさま着替えを押し付けられた。白い、ごくごく普通のシンプルなシャツ。もちろん、着方はわかる。それもインプットされているからだ。 腕を通して、釦を留める。
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