いつかの疑問

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「しっかしまあ、俺ってあんま広島のこと知らないんだな」  天パは呟いた。彼が住んでいる地域は市内と比べると品揃えなどは劣るものの、スーパーや書店などがある程度存在しているため、この店に無かったからこっちで、といったように必要なものを揃えることができる。  それに市内に行くための運賃と時間を考えると、近場で済ませたほうが楽なのだ。  そういった要因から、彼は市内に行く機会が、それこそ年末の初売りに行くくらいなもので、最近など、本来乗る電車でない電車に乗り、車内で眠ったために、家とは真逆の方向の終点まで行き着いてしまい、倍の運賃を支払ったほどだ。 「ゆーて俺らも分かってないしな。また暇ができたら広島巡りでもしてみるか?」 「いいなそれ。どう――よ?」 「………………」  金髪の提案に前髪が応え、天パにも意見を聞こうとして、怪訝な顔をした。  天パは眉を寄せて唸っていたからだ。  なにかまた下らない疑問でも浮かんだのだろうか、前髪が声をかけた。
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