西没の夢

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西没の夢

西没の夢 傾く虹と焦げ付く戦史 剣の集う宮殿に 王には為れぬ策士の冷笑 盲信の蒙昧より 正当なる人命廃棄 孕む不穏を手懐けた 聖職の座は絢爛の象徴 死の局面に立たされた 不釣り合いな自我の果て 折れた魂の剣を宛てがい 権謀術数に伏する栄光 翼を燃やした天使の弓引く 星すら名も無き塵芥の凝塊 闇へと浸す手に実を結ぶ 醜怪なる果肉を齧り 摘んだ野薔薇の棘に刺された 鼓動の行方が決する畢生 西没の辞世 英傑も 果無者も 時の寵児と成り得るかは 紙一重たるが世の習い
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