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黒よ、黒よと呼ぶ彼方者
手向けには黒薔薇を一輪
冷えた熔岩の柩に添えよ
空の頭蓋に古書を詰め込み
因果律に問う憎悪の輪廻
黒よ、黒よ
我が身を包み
宵闇へと誘(イザナ)ったなら
朽ちた心臓を貫きし
憎き右手を狂わせようぞ
覆らぬ運命を廻し
炎の車輪は燃え盛る
莫逆の友なる姿は偽り
仮面の下は慾深き悪相
裏切り者の末路に怯えよ
怨思の闇は何処までも苛む
黒よ、黒よ
因果人の裾へと絡み
悪夢の兆しを植え付けたなら
魔の悪霊が跋扈する
報復の谷へ引き摺り落とせ
天よりの警鐘が木霊する
瓦礫の門戸も軋む嵐の夜
全色彩を凌駕する暗黒よ
我が魂も漆黒に塗り替え給え
手向けには黒薔薇を一輪
何物にも染まらぬ高潔な花を
虚しき幽鬼に堕ちようとも
我が誇りまでは穢させぬ
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